2018.03.02 Fri
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書のある暮らし

 
全国的に春の嵐で始まった3月。旅立ちの季節でもある3月のヒシガタ文庫では、「書く」をテーマに選書した約100冊の本が並んでいます。
 

 
手紙やメールの書き方、文章力や語彙力を鍛える実用書から、「書く」ことをテーマに選書した小説やエッセイなど、「書く」ことについて様々な視点で書かれた本をご紹介しています。
 

 
こちらは、文筆家である片岡義男さんのエッセイ『万年筆インク紙』(晶文社)。
「書く」という仕事の根幹について考えた書下ろしのエッセイ。「書く」ことを仕事としている作家が、文字にについて語るという興味深い一冊。
 

 
滑らかな手触りの薄紙が使われているカバー紙、万年筆のインクを思わせる文字の青色、「まえがき」も目次もなく、ただただ、文字のみで語られていく。「書く」という当たり前の、日常の行為に、ふと手を止めて考えたくなる一冊です。
 
また、「書く」をテーマに選書した小説でおススメの2冊をご紹介します。
『ツバキ文具店』著:小川糸(幻冬舎)、亡くなった祖母の文具店と代書屋業を引き継ぐことなった女性“鳩子”の物語。TVドラマにもなった一冊で、舞台となる鎌倉の風景が丁寧に描写され、そのロケ地巡りも話題になりました。大切な人に思いをしたためる手紙の温かさを知る一冊です。
 
もう一冊は、文豪・三島由紀夫の名作『三島由紀夫のレター教室』。1966年に週刊誌に連載された長編小説。個性溢れる5人の登場人物が繰り広げる出来事が、手紙のやり取りで進んでいく異色小説。氷ママ子に山トビ夫、登場人物の名前だけでも面白さがあり、テンポよく展開される手紙のやり取りは、何度読んでもクセになる面白さ。挿画は、版画家の山本容子のオシャレな挿画。おススメの一冊です。
 
その他、日々の生活の中で手紙を書くことを大切にしている暮らしをご紹介する本や、「手紙講師」として活躍する、むらかみかずこさんによる、手紙の書き方や愉しみ方を知る本もご紹介しています。
 
『おとなの手紙時間』著:むらかみかずこ(サンマーク出版)
『手紙のある暮らし』編書:マイナビ 
 

 
3月は、卒業や引っ越し、転勤など、お別れの季節ですね。今では、手紙に代わり、便利なメールやLINE、SNSなどメディアを通した様々な連絡手段が生まれています。それでも、やはり手書きの文字で伝える手紙は、温かみがあり、心を伝えられる気がします。遠く離れる友人や家族、お世話になった方々へ、自分でしか書けない文字で、思いを手紙にしたためるのも良いかもしれませんね。
 
ヒシガタ文庫には、ハガキや便箋、メッセージカードなど、気持ちを伝える文具を取り揃えております。お相手の顔を思い浮かべながら、ぜひ、お手に取って、選んでみてくださいね。


Written by m-homma